企業が所有している車が事故に遭った場合、どうすべきか?

 

複数の拠点を有したり、営業スタッフを抱えていたりする企業では、自社の車両を所有している場合があると思います。自動車は電車と比較すると「荷物をたくさん積める」、「小回りが利く」等多くのメリットがあります。しかし、万が一従業員が運転する車が事故に遭った場合、怪我や物損に限らず多大な影響が発生します。

そこで今回は、社有車が事故に遭った場合にどうすべきか、事故にどう備えるかについてご紹介します。

 

■自動車事故の発生状況について

 

警察庁交通局が発表した「令和2年における交通事故の発生状況等について」によると、近年の交通事故の死者数・重傷者数はともに減少傾向にあります。
 車両等の法令違反による歩行者の死亡事例を見てみると、原因の1位はドライバーの前方不注意で209人と、全体の約50%を占めます。続いて2位がドライバーの安全不確認で67人(約16%)、3位が歩行者による通行妨害で47人(約11%)です。1位、2位を筆頭に、全体の約71%が“安全運転義務違反”による事故という結果が出ています。

安全運転義務違反の例を挙げると、安全不確認、脇見運転、動静不注視(相手車両の動静の注視を怠る)等です。道路交通法第70条では安全運転の義務として『車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。』と定められています。

安全運転義務違反で事故を起こすと、違反点数2点が科せられ、反則金として大型車の場合は12,000円、普通自動車なら9,000円を支払わなければなりません。また、重大な事故を引き起こした場合は、事故の内容に応じた刑罰や罰金などの刑事罰が科せられることになります。

 

■事故に遭った場合の対応

 

実際に事故の当事者になってしまった場合、どう行動すればよいのでしょうか。以下に、車両同士の接触事故が起きた際の一般的な流れについてご説明します。加害者・被害者どちらの立場であっても、対応に漏れがないよう気を付けましょう。

1)警察・救急への連絡

まずは双方に怪我がないか確認します。怪我の程度が大きいようであれば、救急車の手配を優先してください。そのうえで警察に連絡を入れ、事故の状況を報告します。加害者の報告は義務ですので、たとえ軽傷であっても絶対に怠らないでください。
 

2)加害者の情報を把握

事故車を動かせる場合は、他の車両の通行を妨げない道路脇等に移動させましょう。話ができる状態になったら、以下の加害者情報を確認します(自分が加害者であれば、被害者に伝えます)。
 

・氏名、連絡先、住所

・車両ナンバー

・加入している共済

・勤務先情報(社名、連絡先、住所等)

※業務における事故の場合、ドライバー本人だけでなく雇用主も責任を負うことがあります。

 
3)現場の状況確認

事故に遭った直後はお互い気が動転し、冷静な判断ができないかもしれません。目撃者がいる場合は、証人をお願いしましょう。また、破損した車等の現場の状況を撮影しておくと、のちのち事故の内容を正確に思い出したり客観的な証拠として提出したりする際に役立ちます。

4)病院に行く

そのときは痛みを感じていなくても、怪我によっては事故の数日後に症状が表れるケースもあります。事故の大小を問わず、病院に行って医師の診断を受けておきましょう。診断書がないと、治療費の請求ができなくなってしまう恐れがあります。
 

仕事中の交通事故は、当事者だけの問題ではありません。事故処理に時間を要しその間の業務が止まってしまう、車両や破損物の修理に費用がかかる等、企業にも多くの損害が生じます。相手に怪我を負わせてしまった、死なせてしまったとなると、多額の賠償責任が生じ、その従業員を管理している企業までも信用を失ってしまうでしょう。

では、事故を起こさない、巻き込まれないためには、日頃からどのようなことを心掛けるべきでしょうか。

 

■事故を起こさない、巻き込まれないためにどうするか

 

道路交通法に基づき、一定数以上の車両を保有している事業所には、安全運転管理者の選任が義務付けられています。管理者は、自身の管理下にある運転者に対し、国家公安委員会の交通安全教育指針に沿った「安全運転教育」と、内閣府令で定められた「安全運転管理業務」を実施する必要があります。受講者は交通知識のアップデートを図るとともに、「運転は自分や他人の命に関わるものである」という事実を再認識することが肝要です。

事故に巻き込まれないために、「車間距離は十分にとる」、「特に住宅街では子どもや自転車の飛び出しに注意する」、「時間に余裕を持って運転する」等の防衛運転を心掛けてください。また、あおり運転の被害を受けた際には無理に運転を続行せず、広い駐車場等に避難して警察に連絡を入れるといった自衛策をとりましょう。ドライブレコーダーで一連の様子を録画しておくと、客観的な証拠として役立ちます。しかし、これらの対策をすべて実行したとしても、交通事故の可能性をゼロにすることはできません。

万が一の備えとして、自動車共済を利用することで相手方の怪我や自動車等の損害に対する補償、自動車事故費用共済を利用することで、人身事故に伴う諸出費等といった自己資金が必要な部分についても備えることができます。

交通事故という予見しきれないリスクに対し、共済は企業にとって確実に効果のある対策のひとつといえるでしょう。

 

■まとめ

 

ひとたび交通事故が起きると、従業員が加害者・被害者のどちら側であっても、企業は様々な対応が求められます。事故後の精神的な負担も大きいことから、スムーズな解決を図るためには事前の備えをどれだけ講じられるかがポイントでしょう。

自社で車両をお持ちの企業様、自動車関連共済の見直しを検討されている方は、当サイトのお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。