従業員が業務でマイカーを使う際、共済・保険は適用される?

営業活動を積極的に行っている企業であれば、従業員の移動のために社用車を所有されている場合が多いと考えられますが、中には従業員のマイカーを利用する場合もあるかと思います。万が一、就業中に個人の車で事故を起こしてしまった場合は、個人で自動車保険に加入していても契約外の利用として補償されないケースが考えられます。そこで今回は、就業中にマイカーを利用する場合の注意点と利用した場合の共済・保険の活用についてご紹介します。

■補償が受けられるかどうかは、契約内容次第

一般的に、損害保険会社が提供している自動車保険では、契約時に利用目的の申請を義務付けています。主に「日常・レジャー用」、「通勤・通学用」、「業務用」の3種類を設けているケースが多いです。「日常・レジャー用」は、プライベートで車を使用する際に選択します。比較的に走行距離が短くなる傾向にあるため、一般的に保険料は安く設定されます。対して、「業務用」は走行距離が長くなり事故のリスクも高いため、保険料も高く設定されています。

申請した利用目的での使用で発生した事故が補償の対象となるため、以下のような場合は対象外として補償されない可能性があります。

 

・社有車が足りないため従業員がマイカーを使って業務を行っていたところ、事故を起こしてしまった。

・自動車通勤を行っている従業員がおり、自分の通勤車でそのまま営業活動に出てしまい、業務中に事故を起こしてしまった。

 

このような事故を起こした際に、業務使用の目的で保険を契約していない場合は、保険が適用されないことがあります。加入している保険が業務時の事故についても補償されるか契約内容の確認を行うことが重要です。

一方で、利用目的の区分を行っていない商品もあります。例として、全日本火災共済協同組合連合会の「自動車総合共済MAP」は契約時に利用目的の限定がないため、業務中やプライベート時を問わず、事故が発生した場合に補償が受けられます。

■従業員がマイカーを業務で使う際の注意点

社有車を使わず従業員のマイカー使用を推奨した場合についても、企業には移動時の管理や責任が発生します。

民法第715条(使用者等の責任)では、『ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。(以下略)』とあります。企業の命令によって発生した業務中の事故で、物損や怪我をさせた場合、使用者である企業に責任が発生します。さらに、従業員が加入している保険で補償が受けられないとなると金銭的な負担が大きくなる可能性もあります。

企業として金銭的なリスクを回避するとともに、従業員に不安を与えないためにも、社有車を用意することが必要です。また、マイカーを利用せざるを得ない場合には、事故が発生した際の補償が受けられる体制を整えることが大切です。次項では、従業員のマイカーを利用する場合に準備しておく点をご紹介します。

■従業員がマイカーを業務で使う際の準備

私的な利用との線引きを行うため、マイカー利用時のルールを定めることに加え、企業側で共済・保険の加入を行うことが必要です。また、補償の重複があるかもしれないので各従業員が加入している自動車保険が既に業務中の事故が補償の対象となっているか確認してもよいでしょう。

その他に、定期的に交通安全対策講習会などを実施し、従業員に安全運転の意識を浸透させることも有効です。事故の多くは、ドライバーの安全不確認、脇見運転など“安全運転義務違反”によるものです。裏を返すと、安全への意識を正しく持っていれば、一定の事故は未然に防げますので、ルール作りと一緒に安全意識を高める施策も実施しましょう。

■まとめ

従業員がマイカーを使用する際は、やむを得ない場合に限ることが重要です。そのうえで、企業・従業員双方のトラブルをなくすためにも企業でしっかりと補償を行うことが大切です。そのためには、共済・保険の活用が重要となりますので、補償内容をきちんと確認しておきましょう。「自社に合った自動車共済の選び方がわからない…」、「各社の補償内容がわからない。」といった場合には、こちらの問い合わせフォームからご質問をいただきましたら共済・保険の活用についてご説明させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。